劇場-又吉 直樹

話題の又吉 直樹作品。劇場。

役者目指す身の私は、もちろんタイトルに惹かれた。

しかーーーし!

芥川賞を受賞した火花にハマらなかった私は、購入を躊躇し、バイト時間ギリギリまで書店で悩む悩む悩む。

 

帯を見ると、なにやら恋模様を書いた作品らしい。

 

うむ。

嫌いじゃない。

むしろ気になる。

 

そろそろ出勤しろよー。

というアラームに押されて購入!!

 

おもしろくて、おもしろくて、バイトの合間を縫ってまでハマった結果、2日で読み終わった!

 

設定は割と普通だし、登場人物も普通。

芝居好きな私からすると、こんな感じの人種は身近にわんさかいる。

ゆえに、親近感が沸き、感情移入しやすかったのかもしれない。

 

心理描写がまたとても細かく、前作の火花同様、独特な表現がされていた。

 

主人公にも、その彼女にも、

「あー わかる その気持ちすごいわかるよ」

と涙が流れるシーンがいくつもあった。

 

結末も切なくて、芝居の世界に儚い希望を抱く主人公がまた愛おしい。

 

読後もしばらく余韻に浸って泣いていた。

が……。

ふと我に返ると、この男、クソ男だなと気づく。

ただ、そのクソ男に愛おしさを覚えたのもどこか悔しくて、又吉 直樹すげーなー

ってなった作品でした。

 

そう、劇場はクソ男の言い訳がやたら長い作品です。

 

劇場

批判じゃないよ。

私も彼を愛していたから。あの2日間だけは。